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『TTT 戸惑いの惑星』の曲についての感想

11000字くらい。

 

20th Centuryさんの『TWENTIETH TRIANGLE TOUR 戸惑いの惑星』を観に行ってきました!福岡公演です。

トニセン主演で出演者はトニセンのみ*1の舞台で、ストレートプレイでもミュージカルでもコントでもない、まったく新しい舞台、"Play with Music"を目指したんだそうです。この記事はそのMusicに注目して感想をざーっと書いたものです。Playの部分つまりお芝居については、長くなったので割愛しました。井ノ原くんかわいいし長野くん素敵だし坂本くんかっこいいよ!!

物語の中に楽曲が含まれている構成上ストーリーについても言及しますが、説明不足な面があると思いますのでなにとぞご了承をお願いいたします。

それとこの舞台では、坂本さんと三池、長野さんと由利、井ノ原さんと長谷川が混ざってるような違ってるようなキャラクターなのですが、この記事においてはMusicを歌っているのはトニセンの坂本・長野・井ノ原ではなく三池・由利・長谷川だという仮定のもとで感想を書いています。

 

 

注意事項

  • この記事は当然のようにネタバレを含んでいますし、見てる前提で話が飛びます。
  • 私は音楽にまったく詳しくないので分析ではないです、まとまりない感想と深読みです。
  • 1度観ただけなので記憶が曖昧です。間違ってたらすみません。

 

 

Play with Music、直訳すると音楽のある劇。しかしTTTは歌を歌っているけどミュージカルではないのだといいます。TTTとミュージカルの最大の違いって、音楽が物語においてどれだけ重要かってことだと思います。ミュージカルは大事な場面や大事なセリフを歌に乗せて表現するんですけど、TTTにおいては歌部分をカットしてもストーリー上なんら破綻がないんですよね。直前までのシーンのまとめとして歌って、その後場面転換する、みたいな使われかた。制作からすると曲ありきでストーリーを考えてるので、当て書きみたい!という感想はまあその通りなわけで。

では直前のシーンをまとめるだけならなぜ歌う必要があったんでしょうか。このストーリーはこの曲のオマージュですよと紹介するだけならパンフレットでもいいし、せっかく3人揃うなら歌っちゃいなよ程度の気持ちで入れてるわけでもないように感じるんですよね。

なぜ歌う必要があったのか、その答えはこの記事を最後まで読んでも書いてないんですけど(分かんないから)、でも歌うからには何らかの意味があるんじゃないかなと思わせる、それくらい伏線が緻密に張り巡らされた面白い舞台だったな、というのが私の感想です。

 

 

 

曲目
1.Change your destiny(1回目)
2.不惑
3.オレじゃなきゃ、キミじゃなきゃ
4.Sing!
5.ちぎれた翼
6.days -tears of the world-
7.Change your destiny(2回目)
8.Dahlia

 

キャスト

 


基本的に、曲名、どんな曲か、どの場面で歌ったか(時系列迷子なので曖昧)、感想、深読みを書いています。
全体的に「星」「空」「運命」や「焦り」「恐れ」「戸惑い」が選曲テーマな感じがします。

 

1.Change your destiny(1回目)

三池、由利、長谷川の3人がメールで呼び出されたスタジオ33にて、金管楽器で演奏した曲です。1曲目として歌うのと、2回目に本編ラストで歌うのとではいろいろ違うんでしょうね。

まず歌がめちゃくちゃ上手くてたまげました、すごい!三池→由利→長谷川の順だったと思うんですけど、歌い出し三池・坂本さんの歌うっま!以前にもミュージカルやコンサートで拝聴してはいましたけども毎回驚いてる感ある。やばい。由利・長野さんは私の記憶の中より数段上手くなってるし、長谷川・井ノ原さんもやばい(語彙力)。

どこか後悔をはらむような寂しげなメロディーでありながら*2、「未来を変えよう」という決意を歌った曲です。「You can change」だけじゃなく「We can change」って歌ってたと思うんですけど、誰かへの応援だけじゃなく自分も頑張ろうって思ってて前向き。の割には、この曲はたくさんの箱が積んである舞台上をぐるぐる回りながら歌っていました。戸惑いを表現していたんでしょうか。 

ストーリー的には現時点でdestiny(運命)の話なんて出てきてないのですが*3、「星と星がつながる」とか「水面が輝く」(ニュアンス)といった歌詞は今後の展開にもつながっていました*4

 

さてTTTで歌う曲は基本的にトニセンの既存楽曲です。しかしこの曲だけは今回オリジナルの書き下ろしです。それを1曲目にもってきたこともあって、これは戸惑いの惑星のOvertureでありテーマ曲だといえるのかもしれません。彼らが物語の中で変えたい運命とは何なのか、そこに注目して物語を見てくださいという導入的な意味合いもあるのかな。

個人的にこの曲は、トニセンの新曲というよりは劇中曲だと思いました。曲終わりに三池、由利、長谷川は言います「なぜ3人ともこの曲を知っているのか?これはその謎を解く物語」。つまりこの曲こそが、"戸惑いの惑星"という物語の鍵なわけです。3人がいつかどこかで聞いたことのある、記憶を呼び覚ますこの曲こそが「change your destiny」=「未来を変える」ためのキーだったのでしょう。

そういえばこの曲は箱の中に入っていました。1回目は楽譜として*5、2回目はオルゴールとして*6。そしてその2回とも、長谷川から送られたものでした(ですよね?)*7。何か意味があるのかどうかは分かりません。けれど心の箱の中にしまっていた記憶を呼び覚ますというイメージなら分からなくはないかなと。

さらにこれが未発表曲であったことで、メタ的な視点*8でも、なんでこの曲3人知ってるんだろう?ってなりますよね。もしこれが既存曲だったらメタ的に、そりゃトニセンの曲なんだから3人が知ってて当然でしょwwみたいな気持ちに客席なるんじゃないかなーと。そういう意味でも、これはこの物語のために新たに書き下ろされた楽曲なんだろうなと思いました。しかし単独で音源化されるならそれはそれで万々歳なのでよろしくお願いします!

 

あとこの曲では金管楽器を吹いていましたね。初心者には難しい楽器とはいえ全然聞ける演奏でした。練習期間は半年くらいだっけ、すごいよなと思いました。私が見たのは福岡公演なので、東京より上達してたかもしれないですね。てか三池(坂本さん)の長い腕でトロンボーンってめっちゃかっこよくないですか??由利(長野さん)はなんか丸くてコンパクトなやつ(ホルン)抱えてかわいかったです。長谷川(井ノ原さん)はトランペットでオーソドックスだからこそのかっこよさ。曲初めにソロパートあるのでおお!って思いました。2人やらないのかよ!って言ってる長谷川面白かった。

 

余談

これ楽譜読みながら演奏するシーンなんですけど、私が観劇したときは三池が演奏中に楽譜見てなかったです(体の向きが違った)。由利と長谷川は楽譜を見ながらの演奏だったんですけど、三池は楽譜を見た時点で曲に心当たりがあったのか?って気になったんですけど実際のところどうなんでしょうか…。演技ミス?私の記憶違い?

というかスタジオでの3人の再会と、バーでの三池と彼女の再会って時系列的にどっちが先なんですかね。時系列がスタジオ → バーだとすると、スタジオであっ聞いたことあるってなった曲を三池がバーで演奏してたら彼女がやってきたとなるのですが、じゃあメールで3人をスタジオに呼んだのは誰だ?逆の時系列でバー → スタジオだと、三池がバーで彼女と演奏して絵を描いて別れた後に、彼女が長谷川に手紙代筆を依頼し、それを元に長谷川が3人をメールでスタジオに呼んだ*9となるのですが、こちらだと三池は曲を覚えてたことになる、よね?ってか三池が彼女とバーで演奏した曲って『Change your destiny』で合ってますか?『Change your destiny』が聞こえてきたから彼女はバーを訪れたのだと私は判断したのですが、自信がない。
1回しか見てないので記憶違いなのか何なのか確認できないままに妄想が進んでおります。再会したのはいつとか言及ありましたっけ?高校卒業して10年後?彼女に関しては余命半年とか四十九日がヒントにはなりそうですが。時系列迷子。

ってここまで書いておいて何ですけど、もしかして三池の演奏するトロンボーンって伸縮するとこが長いから体の正面に楽譜置かないんですかね?横目で見るのかな?どちらにせよ時系列が気になるなーと思ったんですけど誰か分かりませんか…。

 

すみません話が逸れました。

ちなみに楽器を取り出した箱の上に楽譜を置いて演奏するんですけど、三池はちょうどよさそうな高さなのに対して、由利のは低め、長谷川に関しては箱が低すぎて背曲がってましたね、演奏しにくそう。まあ長谷川は基本的に縮こまるというか猫背気味な印象はあるのですが、箱の高さも稽古中に何か相談したのかなーとか想像してしまいました。楽譜なしで吹くシーンでは背が伸びてて3人ともかっこよかったです。ライトを浴びてきらきら光る3人と金管楽器が綺麗でした。

 


2.不惑

戸惑いの惑星のタイトル元になった楽曲です(ってパンフレットで言ってました)*10。ジャズ風のアレンジがされて力強くかっこいい感じになってました。しかも踊る。上手の三池さんめっちゃ首回してました。由利・長谷川の首は控えめでむしろ腕を振っていた印象です。三池を演じる坂本さんのダンスって基本に忠実な感じがするんですけど、この曲では荒ぶってるなーと思いました。逆に腕はあんまり振ってなかったです。

ストーリー的には、長谷川の小説『迷いの病の世迷言』を三池と由利が病院の待合室で読んでいた辺り(ここから小説内の話になる)で歌われた曲です、たぶん。サビの「自分は自分であればいいはず」という歌詞が、三池と由利からの、人格喪失症である長谷川へのメッセージになっていたように思います。しかし直後の長谷川ソロパート(元から井ノ原さんのソロパート)は「それでも焦ってしまうのはなぜなんだろう」。この曲は長谷川(井ノ原さん)の歌い出しで、1番Aメロ「ゾワゾワ」の辺りでまさにそのような動きをして螺旋階段を上る彼に、"這い上がってくる得体のしれない何か"はポジティブな感情だったのでしょうか。これはちょっと深読みしすぎだとは思いますが。

それと曲中に長谷川の語りというか回想がありました、よね?作家になるために頑張ったけど上手くいかない、とにかく手紙代筆業やってみるよ、みたいな(曖昧)。2番Aメロの「可笑しいね」辺りからが回想かな?そして回想から戻ると落ちサビ「どしゃぶり車の中で~」、ここのハモやばいですよね!ちなみに曲中に回想することで飛ばされた部分の歌詞は「得意になっていた俺 仕事、出来ますって感じで」。なるほど3人のうち誰も仕事出来ますって感じじゃないなって納得しました。

 

この曲の始まりは青い照明だったように思うのですが、次第に「赤い血をたぎらせ」ていくのか照明が赤くなりましたよね。大サビとかめっちゃ赤かったですもん。そういえば公演パンフレットも赤だなーとちょっと思ったり。この『不惑』が戸惑いの惑星のタイトル元になっていることを考えると、それもアリだと勝手に思っています。宇宙なら単純に青紺黒とかでまとめることもできたのに。

それと"血"から連想するのは、恐怖を感じると血の気が引いて体温が下がるという由利の話でした*11。恐れたり焦ったりすると"血が滞って"しまう。逆に、"本気でもがいてみれば赤い血がたぎる"。由利は同時に、血の気が引くのは身を守るための反応だから仕方ないというような発言もしていました。これが小説内の発言であるということは、作者の長谷川は?こじつけすぎかな。

長谷川が代筆業を頑張ってみるよ!というところで『不惑』が終わります。長谷川の話ばかりしてしまいましたが、三池も絵で頑張って、由利も研究を頑張っていることが小説内では描かれています。しかし実際には三池は絵を諦めて塗装の仕事をし、由利は大学に辞表を提出して*12いました…。

 


3.オレじゃなきゃ、キミじゃなきゃ

こんな悲しい曲になる??かなりテンポを落としたバラードで、悲しげな雰囲気にアレンジされています。原曲の明るさ知ってたらびっくりですよこれ。でも歌詞が見事にハマっててすごい、イメージ完全に変わった。言われてみれば「泣きたい夜があるのさ」とか「こんなはずじゃない」とか苦しんでる曲なんですよね。しかしサビの「迷わずに走れ」、「自分を信じて」など前向きな歌詞が並び、これらは"戸惑い"とは逆ベクトルの言葉です。が、悲しげな雰囲気の曲にアレンジすることで、それは分かっている"けど"という、上手くいかなくてもがいてる感が出てる気がします(語彙力)。

ストーリー的には長谷川が手紙代筆業を頑張ってる辺り(小説内)ですかね。作家業を127社に断られて代筆の仕事をするしかない長谷川。自分の本当に描きたい絵が売れないから似顔絵で生計を立てる三池。自分の研究が認められなくて予算を削られる由利。「オレじゃなきゃできないこと」なんてあるんだろうか、そんな焦りとか苛立ちとか悲しみを表現してると思いました。というか歌ったタイミング的に、この曲って代筆業さえ上手くいかなくて*13自分を失っていく長谷川の歌ですよね。照明が青かったと思います、悲しげな雰囲気で、さきほど不惑が赤かったのとは対照的。まあ曲のアレンジからして対照的なんですけども。

曲終わりに長谷川は彼女と再会したんでしたっけ?あれ?この辺ちょっと曖昧。けど曲後のシーンがたぶんバーのシーンで、曲を歌ったから場面転換だなという先入観があると、三池が飲んでるバーに由利がやってくるシーンを現実世界だと誤認してしまいそうです(初見だと現実世界だなと思いますよねこれ。気づけた人いるんですか?伏線回収されたときとても驚きました。)。
あと劇中にセリフで「オレじゃなきゃ」「キミじゃなきゃ」というのがありましたよね?イノッチじゃなくてハセッチだろ?長谷川だろ?うわああ → 病院の辺りかな?歌詞にもセリフにもいろいろ伏線が張られてるのかもしれないですね。

 


4.Sing!

どんなアレンジだっけ、ジャズかな?とにかく楽しいし三池がイキイキしてるし後ろの由利とマスター(井ノ原さん)も揺れたりうなずいたり動きがかわいいし。3人で一列になったり肩に手を置くみたいのとかやばくないっすか??軽やかなステップに心はずむ音楽で歌詞通りの幸せ!歌の入りが自然すぎて超ミュージカルでした、さすがです坂本さん。

ストーリー的には三池がバーで彼女との恋を話してる辺り(小説内)。スポットライトだけの彼女と、彼女を見る三池の表情ですよ。ウキウキキラキラしてますよ。観客も手拍子してて楽しかったな~。

この曲って唯一"3人"以外の人物が歌っている曲じゃないですかね。マスター≒長谷川という見方もできますけど。この曲における主役は明らかに三池(と彼女)で、マスターはともかく由利が歌う理由はないんですよね。すると長野さんが演じているのは誰だ?もちろん曲前の会話では由利なんですけど、『Sing!』への参加は由利としてではなさそうに感じたなあ。それと、彼女に初恋をしていた長谷川を演じる井ノ原さんをマスター役に配してるのが憎いなあと。三池・由利がバーに迷い込んでいるのでマスター役をできるのは消去法で井ノ原さんしかいないのは確かにそうなんですけど憎い!

またこの曲は唯一カンパニーの方々も参加している楽曲だったと思います。セット移動以外の理由でバーカウンターに3人以外の人が出演してましたね。さらにあとから振り返ると、三池・由利・長谷川以外の人物(マダム、ヤクザ、教授、母親、編集者、先生、同級生、マスターなど)が舞台上にいるのは小説内だけでした。

 


5.ちぎれた翼

元曲は、"天空人の僕は翼を捨て天空を捨ててでも深海の君の元へ堕ちていく、それが前世からの約束"的な歌詞で、幻想的でドラマチックな描写と壮大なメロディーが特徴的です。かっこよすぎてどんなアレンジか忘れた。。。若干テンポ早かったかな?もったいない忘れてしまった音源化して(切実)

空のことを歌った歌詞がドンピシャで、この曲のためにずっと伏線張ってたのかー!って感じです。「名もなき星たちの伝説」とかね。 ストーリー的には、宇宙の外側のバーで三池がトイレの扉を開けたらバーに長谷川が入ってきた、その後の曲です。扉を開けたのは3回ですが、恐る恐る開けた1回目は眩しい光と音が*14、ゆっくり慎重に開けた2回目はプラネタリウムみたいに青い光が揺れてて、そのときに夜空を映す水面が揺れてるとか*15銀色の月が沈むとか、セリフで歌詞の伏線が張られていました(『ちぎれた翼』には「揺れる水面 沈んでく銀の月」という歌詞があります)。そして3回目、今度はためらわず一気に扉を開けると長谷川がバーに入ってきました。扉の向こうは、2回目の青に、緑と赤が混じったり、白かったかも。あとサビ前にジャーンって鳴って光ってました、眩しい。

ポーズをとりながら歌ってました、体全体で受け流すというか手で振り払うみたいな振付け。長谷川のロングカーディガンが、病室で着てた服ですよね、あれで踊るのやばい。3人ともよく動いてた、っていうか振付けも相まって、抗ってもがいてる感がありました。歌詞から考えると運命に抗っていたのかな。

落ちサビの「何も恐れない 迷わず落ちていく 僕は君の元へ」、ここ最高でしたね!"戸惑い"とは逆ベクトルの強い思いが感じられます。ちなみにこのあと大サビは歌わず、ピアノの音だけが響いていました。理由はたぶん大サビの歌詞が「奇跡などいらない」だから。これは奇跡を研究している由利に歌わせるわけにはいかないでしょう*16。それに3人の無意識が集合している時点で十分に奇跡が起こっているといえます。

曲終わりに扉が閉じました。そのとき扉の向こうは白い光だったと思います。

 


6.days -tears of the world-

泣きました、ほんと。彼女からの真実の手紙を受け取った三池。三池の泣き顔がもうだめです。。これ歌う順が長谷川(井ノ原さん)→由利(長野さん)→三池(坂本さん)なのが、もともとのパートとはいえ憎らしいと思いました。長谷川と由利の「I love you...」の切なさといったらなかった。その間に呼吸を整えて泣き顔の三池が歌うんですよ、手紙を強く握りしめて。

彼女の三池への手紙の中で「一緒に演奏をすることで私たちは運命を変えた」というような文面がありました。この曲、間奏にピアノ演奏で『Change your destiny』のメロディーが挿入されてましたよね。ずっと好きだった先輩にバーで会えた彼女は、一瞬でも自らの余命という"運命"を忘れることができたというか、人生悪いことばかりじゃないと思うことができたんじゃないかななんて。だって『Change your destiny』は先輩のために作った曲だから。別れは悲しいけど、希望が見えた終わりなのかなあと私は思いました。

「星に誓った愛を忘れないで」は直前の『ちぎれた翼』「見上げてごらん 遥か彼方に変わることのない愛があるんだ」とも対応させてるのかな(深読み)。大サビがアカペラで、曲終わりには三池1人が舞台上に残っていました*17

 


7.Change your destiny(2回目)

本編最後の曲。やはり1回目とは違う感じがしました、まずバラードというかテンポ遅くなってますよね。金管楽器を高々と掲げ、1回目歌ったときの後悔よりも、2回目は前向きな印象が強くなっていたと思います。あとたぶん1回目より長めに歌ってたので追加分で異なる歌詞とかあるのかもしれないですね。それと曲の最後の「未来を変えよう」はハモって音が上がってた(高くなってた)と感じたんですけど1回目からそうでしたっけ?

歌詞は、戸惑いの惑星を旅してきた後では感じるものが違うと思いました。それは、冒頭の「なぜ3人はこの曲を知っていたのか」という過去の答えが出て、そしてこれからどう生きるかという未来の答えも3人は見つけられたからじゃないかなと思っています。この曲によって、文字通り3人は「運命を変えた」。もちろん冒頭のトニトークで坂本さんが言っていた、未来を変えることさえも運命だったらどうする?という問いはあるのですが、それを踏まえても3人は、未来を前向きなものに変えることができた。戸惑いの惑星はそういう物語なんじゃないかなと思いました。

 

戸惑いの惑星って、「彼女の死」によって大事なものを失った3人が、自分と向き合うことができた物語だと思うんですよね。「彼女の死」は取り返しがつかないけれど、3人には取り戻せたものがある。

彼女との別れで絵を描くのをやめた三池が、「自分が本当に描きたい絵を」「絵を描かせてほしい」と思えるようになった。奇跡を信じた妹(彼女)の死と奇跡を体現したはずの母のインチキ判明で辞表を提出した由利が、「まず自分が信じてみる」ことで奇跡の研究を続けるようになった。じゃあ、彼女の余命と彼女には大事な人がいることを知り、さらに自らの人格を喪失してしまった長谷川は…?

私は、長谷川も取り戻せたのだと思います。彼もきっと自分と向き合うことができた。長谷川の無意識、小説の中には、代筆業がしんどい、早く止めなきゃ*18という想いが描かれていました。小説の中の三池は「代筆なんてしてたら幽霊になっちまうぞ」と言いました。なにより、長谷川が無意識に書いたのは、手紙ではなく小説『迷いの病の世迷言』でした。ゴーストライターとしてではなく、長谷川自身の。

三池は小説世界を体験することで、長谷川が本当にやりたかったことは何だったのかを知り、また三池自身が描きたかったものが分かった。その三池が「描かせてくれ」と言った長谷川の絵。それを見て長谷川は「これが僕だよ」と自認することができた。

三池が最後にどんな絵を描いたについては、観客に判断が委ねられていると思います。だからこそ私は、これが3人にとって前向きな未来であることを願ってやみません。

 


8.Dahlia

本編終わりの、カーテンコールでいいのかな、で披露した楽曲。イントロのぱらりるらー らっへーいへーい*19でお馴染みの曲ですが、金管楽器演奏があったことと、まさかのアレンジがかかっていて最初何の曲か分からなかったです。若干テンポが遅めで、バンド入ってた。(すみません本編終わったと思って気が抜けました。)

私の聞き間違いでなければ、この曲は歌詞が原曲と違っています。3人で歌っているので歌詞間違いではないはず。サビ「Thank you my girl」→「Thank you my friend」、Aメロ「彼女は~」→「あいつは~」に変わっていました。彼女を連想させる歌詞をあえて"友"にした理由とは、何でしょうか。これまでの曲は、先ほど『不惑』の「仕事出来ます」や『ちぎれた翼』の「奇跡などいらない」で言及したように、本編内容と矛盾してしまう歌詞は歌わない、という措置を取っていたと仮定します(私が勝手に言ってるだけなので確定はできない。)。それに対してこの曲は、歌詞を改変することで本編との齟齬に対処しています。

もし『Dahlia』が本編終了後のカーテンコール、コンサートで言えばアンコール部分なのだとしたら何を歌ってもいいはずで、歌詞改変せず普通に余興として歌うこともできた。しかしあえて歌詞を変えて歌った。するとたぶん、これもカーテンコールという名の本編の一部なんじゃないでしょうか。単に戸惑いの惑星のエンディング曲だとしても、ちゃんと物語のテーマに則った内容に歌詞を変えたんだなーと思います。

歌詞を変えてでもこの曲を選んだのは「それでも君がいる」を伝えたかったからでしょう、君が、友がいることを。自分が自分として生きていることを。もし歌詞が「girl」のままだったら、"亡くなっても彼女は心の中にいるよ!"みたいにニュアンスが変わってしまったかもなと思います。もちろん3人は彼女のことを忘れはしないでしょうけど。

でも一方で、歌っているのは三池・由利・長谷川ではなく坂本・長野・井ノ原のトニセンのような気もします、なんとなく。舞台はトニセンで始まり、トニセンで終わる、そういう構成だったのかな。あるいは逆に、オープニングトークの時点で3人は三池・由利・長谷川だった可能性もあるかもしれない。とても不思議な舞台で、まさに戸惑いました。面白かった!

  

 

9.その他

  • テーマ的に『小さな恋のおはなし』とか『出せない手紙』もいけそうだなーって思いました、6人の曲だけど。三角関係がしんどい切ないでした。
  • 衣装でジャケット着てたり脱いでたりって意味あるんですかね?由利の白衣と長谷川の病院カーディガン、それと教授やマダムらの衣装変えは理由が分かるんですけど。ジャケットは何なんだろうなあ。三池は着てるけど長谷川が脱いでることもあったから、小説内と現実を区別してるわけでもなさそうで。そんな注目して見てなかったので分かんないですけど。
  • 何かの曲でオレンジ色の照明が印象的だったんですけど何の曲でしたっけ?(印象的なのに曲が分からないとは)
  • 現実と小説内で三池・由利の性格が違う話もしたかった。

 

そんな感じですかね。曲についてと言いながらストーリーだいぶ書いたので頭が疲れました。けどそんな頭使わなくても楽しめる舞台でしたしとても面白かったです。できればもう1回見たいんですけどね。大阪公演観られる方は楽しんできてください。おしまい

*1:黒子の人はいる。

*2:歌詞にも「通り過ぎる日々」「もう運命に委ねない」とかあった気がする。

*3:後から振り返れば冒頭トニセントークでの坂本さんの占いが伏線でした。

*4:というかトニトークで長野さんが星と人が繋がる話を、井ノ原さんが水面に映る夜空の話をしてました。

*5:スタジオで金管楽器

*6:宇宙の外側のバーで手紙と共に

*7:ちなみにあのオルゴールの初登場ってトニトークのときでしたっけ?見た記憶があるんですけどどこで登場したんだったか…。

*8:使いかた合ってます?

*9:スタジオに呼んだのが長谷川というのは三池由利の推測でしかないですけど。

*10:そういえば舞台冒頭のトニトークで女性が持ってきた手紙に、井ノ原さんが「孔子いわく」って口走ってましたけど、不惑孔子の「四十にして惑わず(四十而不惑)」が元ですね。

*11:文脈としては、「おぞましい画像を見る4秒前からすでに体温が下がっている研究結果が出たから、人間には予知能力があるのではないか」という趣旨。

*12:この時点では辞表の話は出てないけど、病院で小説を読み始めたのに気づけば宇宙の外側のバーにいた、という件から現実世界では1日の中の出来事だというふうに私は解釈しました。

*13:マダム博のダメ出しとか。

*14:余談ですが私の席は光が直撃でした、眩しい。

*15:冒頭トニトークで井ノ原さんが言ってたトイレの夢の話と同じ状況。

*16:この時点で由利は辞表を提出していますが。

*17:次のシーンで長谷川は病院のベッドに、由利はあとから病室に来る関係上

*18:宇宙の外側での発言。

*19:個人差があります。